股関節は膝関節や肩関節と比べると保存加療の難しい関節です。
股関節に痛みを来たす代表的疾患を以下に記載しております。
病院受診のきっかけになればと思っております。ご参照ください。（院長 中谷 剛）
「立ち上がり時や階段昇降時、歩行時などに足の付け根（股関節）が痛い。あぐらが痛くて組めない。」
変形性股関節症（へんけいせい こかんせつしょう）
股関節が変形する原因は大きく分けて2通りあります。
1つは寛骨臼形成不全といって、女性に多いのですが、もともと股関節のかぶりが浅いがために股関節での体重を受ける面積が通常より狭く、比較的若年で股関節の軟骨が減ってしまい変形を来たすものです。
もう1つは、股関節のかぶりは正常だったが、長年の負荷により変形してしまうものです。
治療方法としては、保存加療と手術加療があります。保存加療では、運動療法や鎮痛剤の内服などを行います。
痛みが進行する場合には手術が推奨されます。術式は年齢や変形の程度によって様々ですが、大きくわけると人工関節手術と骨切り手術にわかれます。（手術については別ページ参照）
「過去にステロイドの治療を受けたことがある。最近股関節が痛くなってきた。寝ていても痛い。」
大腿骨頭壊死症（だいたいこっとう えししょう）
発症の機序は未だによくわかっていませんが、ステロイド（パルス）による治療歴のある方や、大量に飲酒をされている方などに、突然発症します。大腿骨頭（股関節のうち大腿骨側の丸いところ）が壊死を起こし、比較的急激に痛みを生じます。長期間の荷重制限や、人工関節手術などで治療を行います。
「股関節だけじゃなくって、手の指や足の指の関節、膝関節なども痛くなってきた。朝方にはこわばりもある。」
関節リウマチ
女性に多く、左右対称性の痛みを有することが特徴的です。自己免疫性に自分の関節を破壊してしまう疾患で、過去には治療薬もなく、発症すると手術でしか根治は難しかったのですが、現在では発症および症状の進行を抑制する薬剤が多数あります。
「尻もち転倒をしてから股関節が痛い。歩けない。」
大腿骨頚部骨折（だいたいこつ けいぶこっせつ）
大腿骨転子部骨折（だいたいこつ てんしぶこっせつ）
骨粗鬆症のある高齢者が尻もち転倒することでよく発症します。
2つの骨折とも整形外科領域の、手術を必要とされる骨折の中で、もっとも頻度の高い骨折に分類されます。
保存加療が極めて困難で、全身麻酔（もしくは脊椎麻酔）に耐えうる全身状態であれば手術が推奨されます。
術式は、骨接合術や、人工骨頭置換術などがあります。